滞在4日目の朝。
早々に出かけた市内見物。
うねうねした路地は薄暗く、冷んやりしていた。
15分程で着いた"トレビの泉”には、もう観光客が集まっていた。
” Photo Express ! Photo Express ! ”
イタリア人らしき小柄なおじさんが、
デジカメとプリンター、その上充電器まで肩に提げ、
大きな声で客の呼び込み。
記念撮影の観光客。
水がほとばしる音に負けじと、カメラ屋のおじさんは大きな声で叫ぶ。
”はい、ニコッと笑って!”
観光地の土産物は、見るだけで楽しくなる。
手のひらサイズの模造品だが、実に細かい細工だ。
値段は決して高くない。
安価に作るには、一苦労あるのだろう。
焼きぐり屋のおじさんは、栗も焼けて、ひと休み。
"トレビの泉”には
背を向けてコインを投げ入れると、またここに帰って来ることが出来る、
という言い伝えがある。
それではわたしも、と硬貨を投げて記念撮影。
アーチ型というのは実に美しい。
路地から見える回廊は、中庭からの光で輝いていた。
スペイン広場近くの高級洋品店。
店の名は、" Expensive " 。
ひとつひとつの窓にマネキンが立つ飾り付けが、奇妙だった。
観光地にありがちなこんな光景も、ついつい近寄って見たくなる。
それがローマの気さくさなのだろう。
教会の中は暗闇の世界。
ほのかに灯るろうそくが祈りを誘う。
シーンとした静けさの中で、
カメラのシャッター音がわたしは恥ずかしかった。
教会の階段は人々のくつろぎの場。
目に眩しいほどの日光を全身に浴び、無言の一瞬。